[2021.7.7] 灘中学の入試科目に社会がない理由
関東の中学入試は普通、算国理社の4教科です。一方関西では、灘中は社会なしの算国理の3教科。東大寺、西大和、洛南、星光、四天王寺などは、どこも社会は選択科目にされていて、算国理社の4教科か算国理の3教科かを選べるようになっています。
その事に関して、以前から不思議に思っていました。社会って関西では軽視されているのか?
先日、息子が公開テストを受けに行ったとき、受験会場の塾で保護者説明会があったので出席しました。その時に先生が、灘中の受験科目に社会が含まれていない理由を話されていました。
それは、灘レベルになると、社会のような暗記科目では得点に差がつかないから。
灘中レベルの入試で暗記科目の点数にばらつきを持たせようとしたら、少々難しくするぐらいではダメで、超マニアックな出題をするしかないそうです。そうするとまた受験対策が大変になって、生徒にも大きな負担がかかりますね。
まあ、確かに自分の経験からしても、成績上位者に暗記苦手な子はいませんでしたね。納得。
思い出話を一つ。
昔、塾で中2クラスの授業をしていた時のことです。いろんな問題集からたくさんの問題を細かく切り貼りしてプリントを何枚も作成し、ホッチキスで止めて配りました。すると成績トップの男の子がその中のある1問を指さし、「先生、これ6月にやりました」と言って、自分のプリントファイルを出してパラパラとめくり、半年以上前に解いた問題を見せてくれました。問題がどのプリントのどの位置にあったかまで思い出せるそうです。映像記憶ができる子でした。次元の違う記憶力でした。
その子はストレートで東大に合格しました。
ものすごい記憶力でしたが、努力も断トツでトップでした。高校に入ってからは、平日でも学校以外で6時間以上勉強していたそうです。頭が良ければ努力が少なくて済むわけではありません。努力できるということも能力の一つであると思います。
さて、その東大に行った彼の将来の夢はなんだったか?
農学部を卒業して、家業のトマト農園を継ぐことでした。私はそれを聞いたとき、どうしたら彼のような頭の良い努力家の、それでいて奢ったところのない素朴な少年が育つんだろうといたく感動しました。
ところで、話は戻りますが、
灘中以外の関西の私学で社会が選択制にされているのは、灘の3科目入試の影響なんでしょうか?灘のすべり止めや、灘中受験を断念してランクを落としたとき、4教科必須にするとそこには流れてこないですもんね。そして難関校が3教科+社会選択にすると、またその下の層の中学でも同じことが起こるということかもしれません。
とにかく3科目で高得点を取る自信のある子供にとっては、教科が1つ減るのはありがたいでしょうね。